小見山峻 新作写真集「call, overhaul, and roll」刊行と予約開始のお知らせ

小見山峻による写真集「call, overhaul, and roll」刊行のお知らせをさせて頂きます。



「call, overhaul, and roll」



A5版 ハードカバー上製本 / 216P(図版134 点+テキスト 6p)

ISBN 978-4-9911606-6-0 C0072

限定 1000部
通常版 3,900円+税、プリント付き特装版 A4 サイズ:30,000円+税/ A3 サイズ:50,000円+税

写真:小見山峻

テキスト:有泉智子(MUSICA 編集長、音楽ジャーナリスト)、吉田圭佑(KEISUKEYOSHIDA デザイナー)

音楽:Taihei Sakurauchi

デザイン:泉 美菜子(PINHOLE)

印刷:藤原印刷株式会社





今作「call, overhaul, and roll」は、前作「hemoglobin」以来、約4年ぶりの写真集になります。


効率の良さが圧倒的正義になりつつある現代社会の中で「迷う」ということのポジティブな意味を追いかけ、実際に自らが、ならば迷うだけ迷ってみせよう、という決意のもと小見山の住む横浜から札幌まで、バイクに跨り、彷徨い寄り道を繰り返しながら走り抜けた1500キロメートルのロードトリップの一部始終となります。

閉塞した社会からの脱出、死別した親友への葬い、徹底的な物理的孤独への願望、そしてバイクだからこそ感じられる風の肌触りへの欲求…。様々な感情に後押しされ飛び出したこの旅は、小見山にとって写真家ではなく一人の人間としての逃避行であり、決して撮影そのものを目的としてはいませんでした。

その結果、記録として残していたこれらの写真たちは、これまで以上に小見山自身の純粋な好奇心を色濃く浮き彫りにするものとなりました。


<小見山峻 コメント>

いつの間にか、道を間違えることや遠回りすることを悪手かのように避けてばかりの毎日になっていました。迷うことなんて、下手をすれば食事の回数よりも多い代謝のひとつだと言うのに。ならば今こそ迷えるだけ迷ってみせようと。馬鹿げた時間の使い方に踏み切ったのです。思いつきのような衝動に駆られ、バイクのハンドルに安物の方位磁針を取り付け、それを頼りに北を目指しました。

写真を生業にして、あれやこれやと格好をつけ、撮る理由をでっち上げている毎日ですが、その実、つまるところは「僕はここにいた」と伝えたいだけ。

何事もなければ、まだ何十年と生活は続いてゆくと信じています。その折々で、「僕はここにいた」をただ愚直に積み重ねていくのでしょう。この本のように。

踏み出せない誰かに、何故か帰りたくない夕方に、太陽がもどかしい朝に、毛布にしがみつく真夜中に、道に迷うあなたに。

そして天国にも届くよう願いを込めて。

小見山峻


2022年9月28日より、PINHOLE BOOKSにて先行予約を開始しております。

https://pinholebooks.stores.jp/

【PINHOLE BOOKS の STORES 限定特典について 】

(発売日前は予約注文可能、発売後も購入可)


・通常版特典

1:作者による旅行記(A3 サイズ 4 つ折り両面印刷)約 12000 字

2:本文刷り出しを再利用した缶バッジ (数量限定)

・特装版特典
1:作者による旅行記

2:本文刷り出しを再利用した缶バッジ
3 :オリジナルプリント(インクジェットプリント、プリントのみ)

*プリントは写真集の収録作品から注文後に指定・ご連絡いただきます。 A3 サイズ付き 55,000 円 A4 サイズ付き 33,000 円 各サイズエディションあり(A3: 5 点 A4: 10 点)

*各書店の特典、グッズ販売等は SNS で随時告知いたします。



また、写真集刊行にあたり、書店でのポップアップや個展を予定しております。

ぜひともご来場頂けましたら幸いです。


【展示「call, overhaul, and roll」スケジュール】

2022/11/1 東京POP UP in 代官山蔦屋書店

2022/11/19〜12/3 札幌個展『call, overhaul, and roll』at ie Sapporo(※作者在廊日未定)

2023/1/12〜1/31 東京個展『call, overhaul, and roll』at BOOK AND SONS(※作者在廊日未定

2023/2/4〜2/19 名古屋個展『call, overhaul, and roll』 at C7C gallery(※作者在廊日未定)

2023/2/23〜2/26 京都POP UP in haku kyoto(※作者在廊)

各種お問い合わせ先

PINHOLE BOOKS pinholebooks@gmail.com



Shun Komiyama New Photo Book "call, overhaul, and roll" has been published and is now available for pre-order.

November 1, 2022 Release

A5 size, hardcover, bound in leather / 216 pages (134 illustrations + 6 pages of text)

Limited to 1000 copies

Regular edition: 3,900 yen + tax, Special edition with prints: A4 size: 30,000 yen + tax / A3 size: 50,000 yen + tax

Photography : Shun Komiyama

Text : Tomoko Ariizumi, Keisuke Yoshida

Music : Taihei Sakurauchi

Design : Minako Izumi (PINHOLE)

Printing : Fujiwara Printing Co., Ltd.



This photo book  "call, overhaul, and roll" is the first photo book in about 4 years since the last one "hemoglobin".

In today's society where efficiency is becoming the overwhelming righteousness.

In pursuit of the positive meaning of "getting lost," Komiyama decided to get lost himself, and traveled from Yokohama, where he lives, to Sapporo. This is the story of a 1,500-kilometer road trip on a motorcycle, taking many detours along the way.
Escape from a closed society, a funeral for a bereaved best friend, a desire for total physical solitude, and a desire for the feel of the wind that only a motorcycle can provide.... For Komiyama, this trip, driven by a variety of emotions, was an escape not as a photographer but as a human being, and was never intended to be a photo shoot in itself.

As a result, these photographs, which were left as a record, reveal more strongly than ever Komiyama's own pure curiosity.

<Shun Komiyama`s comment>

Before I knew it, I was constantly avoiding taking wrong turns and detours as if it were a bad thing. Getting lost is one of the metabolic processes of the mind, which is more than the number of times we eat, if we're not careful. So now was the time to get lost as much as I could. I decided to make a foolish use of my time. Driven by an impulse that felt like an idea, I attached a cheap compass to the handlebars of my motorcycle and headed north, relying on it.

I make a living from photography, dressing this way and that up and making up reasons for taking pictures every day, but in reality, all I really want to say is, "I was here".

I believe that if nothing happens to me, my life will continue for decades to come. I believe that life will go on for decades if nothing happens to me, and I will just keep on accumulating "I was here". Just like this book.

To someone who can't make up their mind, to the evening when you don't want to go home for some reason, to the morning when the sun looks frustrating, to the midnight when you are clinging to the blanket, to you in the maze.

And even to heaven.

Shun Komiyama

※For inquiries about international shipping, please contact

PINHOLE BOOKS pinholebooks@gmail.com






小見山峻 写真展「風が応える」開催のお知らせ

 写真家・小見山峻による個展「風が応える」の開催のお知らせ。

この度の展示は、渋谷PARCOにて行われます、SHIBUYA PARCO ART WEEKの一環として、9月17日から9月20日までの四日間、渋谷PARCO 10F ComMunE及び屋上スペースにて開催させていただきます。


 屋上スペースという会場を活かし、空間演出を含め、小見山にとってかつてない大規模な展示となります。

生地にプリントされた写真をさまざまな手法で設置し、屋上を吹き抜けてゆく風によって写真にもう一度「動き」を吹き込みます。それは、本来「思い出」としての機能をもつ写真を、改めて見返した時に起こる心の動き、感傷に通じます。

また、今展示は小見山自身にとって初となる、ポートレートを本軸に据えた展示となっております。

短い期間ではありますが、秋空の下の開放的な写真空間を、ぜひご体験いただけましたら幸いです。

「風が応える」


誰かが言っていた。

忘れることは生きてゆく為の機能だと。

しかし僕らはそれを恐れ、抗うようにシャッターを切る。

目の前の出来事を、屈託のない視界を、そしてあなたのいる世界を。

残すために。

それでも、積み上げた記録はしだいに、非力な僕らの手から零れ落ちてゆく。

抱えきれない思い出たちは何処へやればいいのだろうか。

きっと風が応えてくれるだろう。

この心地良い場所で。

きっと風が運んでくれるのだろう。遠くへ。


                     小見山 峻

小見山峻 アシスタント募集のお知らせ

この度、アシスタントを募集させて頂きます。

ご興味のある方は、以下を踏まえて

i@shunkomiyama.com

宛にメールにてご応募ください。


記載内容

・お名前

・所在地(詳しい住所でなくて大丈夫です)

・年齢

・現在の職業

・志望動機


募集規定

・都内を中心とした撮影に参加できる方

・20歳以上30歳未満

・最低でも2年程度アシスタントを続けられる覚悟と展望のある方



以上になります。

何卒宜しくお願いいたします。

小見山

小見山峻 写真展 『なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo』 開催のお知らせ


この度は、写真家・小見山峻による二年半ぶりの新作個展『なのものでもないものたちの名づけかた』及び『my beautiful tokyo』の開催のお知らせを送らせていただきます。

昨年9月にKG+(京都 haku gallery)にて発表したのち、名古屋c7c galleryにて巡回、東京にて三都市めの巡回となる『なにものでもないものたちの名づけかた』。そして、小見山自身の東京での生活をテーマにした新作個展『my beautiful tokyo』。二つの個展の同時開催となります。



小見山峻 写真展 『なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo』

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会期: 2021/3/8 - 2021/3/22

     13:00 - 19:00(入場自由)

     下記時間帯は事前にご予約いただいた方のみ来場可能です。

     11:00 - 13:00, 19:00 - 21:00

   希望の日時を明記の上、下記メールアドレスにご連絡ください。

   定員に達した場合お断りさせていただく場合がございます。

     ご予約受付用メールアドレス : i@shunkomiyama.com



場所 : MIDORI.so GALLERY(東京都目黒区青葉台3-3-11 3F)

     ギャラリーお問い合わせ先 : gallery@midori.so





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『なにものでもないものたちの名づけかた』


「視る」ということは、「名前を認知する」ことに限りなく近い。この世界のものはたいてい、それぞれの名前を所有している。そして、私たちのなかにごく自然と沈殿した経験と知識により、視たものの名前を無意識に思い浮かべて認知する。視認。それは、目に映ったものに無意識に名前を当てはめることによる確認である。それが固有名詞であれ、普通名詞であれ、「名前」をもってして私たちは初めて「視る」に至るのである。つまり私たちは日々、視線を振り分け、そこに映るものに名前を当てはめて世界の認識を広めてゆく。そして判断し、切り取り、選び、写真として結晶にする。

名前のないものは誰も「視る」ことはできない。

自分自身が「視認」することによって生まれた写真たちから、名前を奪う作業を繰り返した。名前を失った彼らを、あなたは視ることができないのかもしれない。或いは経験に基づき名を振り分けて判断するのかもしれない。あなたがこれらの名づけ親になるとき、それはあなた自身のアイデンティティなのかもしれない。

                 – 小見山 峻


90年代にデジタルカメラが一般に広く普及してから30年が経ち、2010年代に急激に普及したスマートフォンやSNSの登場により、誰もが気軽に写真を撮り、発表することができるようになりました。

写真や映像で溢れ返り、様々な情報が錯綜する今日。私たちは先入観でものごとを見てしまい、その本質について熟慮する機会を失いつつあります。今回の小見山の写真は、自ら考え、その「視点」を変えながら一人ひとりの違いを認識することの重要性を問いかけています。デジタル加工・編集を一切行わずアナログ手法によって制作された今作品たちは、いずれも全て現実の足跡でありながら、その工程によって「名前」を奪われ、その存在意義を鑑賞者に委ねることになります。それにより、日常生活から国際問題まで、現代社会のあらゆるすれ違いを見つめ直すヒントを感じさせられます。

                                                                                      – キュレーター 渡邊 賢太郎


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my beautiful tokyo



夕方過ぎの吸殻のような喫茶店で

皿に残ったラズベリーソースが血の跡に見えて

柔肌のコンクリートに跳ね飛ばされる毎日に

チップ代わりの安い辟易を投げつけている


砂漠ならばまだよかった

アスファルトと違って足跡が残るから

深海ならばまだよかった

カラオケボックスよりも自分の声を聞けるだろう


ここは東京

僕の宝物が、あなたにとってガラクタにすぎない街

ここは東京

あなたの大切な人が、誰かにとって最悪な出来事かもしれない街


アンドロイドにも聴こえるような風の歌を探す

ノロマなトライアンフをコンバースで追い越して

消毒液で汚れた手でシャッターを切るとき

何かを祈った気がするが、帰り道に落としたまま届かない


ここは東京

今夜はいっそ、ボウモアとハイライトで大人になって

ここは東京

明日はきっと、コンソメパンチとスプライトで子供になって


僕らが何かを求めているのか

何かが僕らを求めてくれるのか

僕らが日々を愛すのか

日々が僕らを愛してくれるのか


ここは東京

背伸びし合う鉄骨の裂け目に、なんとか陽を探し出す街

ここは東京

この景色たちの隙間で、あなたを想う日を見つけた街

(チクショウ、それだけでお釣りがくるよな)