小見山峻 写真展 『なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo』 開催のお知らせ


この度は、写真家・小見山峻による二年半ぶりの新作個展『なのものでもないものたちの名づけかた』及び『my beautiful tokyo』の開催のお知らせを送らせていただきます。

昨年9月にKG+(京都 haku gallery)にて発表したのち、名古屋c7c galleryにて巡回、東京にて三都市めの巡回となる『なにものでもないものたちの名づけかた』。そして、小見山自身の東京での生活をテーマにした新作個展『my beautiful tokyo』。二つの個展の同時開催となります。



小見山峻 写真展 『なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo』

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会期: 2021/3/8 - 2021/3/22

     13:00 - 19:00(入場自由)

     下記時間帯は事前にご予約いただいた方のみ来場可能です。

     11:00 - 13:00, 19:00 - 21:00

   希望の日時を明記の上、下記メールアドレスにご連絡ください。

   定員に達した場合お断りさせていただく場合がございます。

     ご予約受付用メールアドレス : i@shunkomiyama.com



場所 : MIDORI.so GALLERY(東京都目黒区青葉台3-3-11 3F)

     ギャラリーお問い合わせ先 : gallery@midori.so





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『なにものでもないものたちの名づけかた』


「視る」ということは、「名前を認知する」ことに限りなく近い。この世界のものはたいてい、それぞれの名前を所有している。そして、私たちのなかにごく自然と沈殿した経験と知識により、視たものの名前を無意識に思い浮かべて認知する。視認。それは、目に映ったものに無意識に名前を当てはめることによる確認である。それが固有名詞であれ、普通名詞であれ、「名前」をもってして私たちは初めて「視る」に至るのである。つまり私たちは日々、視線を振り分け、そこに映るものに名前を当てはめて世界の認識を広めてゆく。そして判断し、切り取り、選び、写真として結晶にする。

名前のないものは誰も「視る」ことはできない。

自分自身が「視認」することによって生まれた写真たちから、名前を奪う作業を繰り返した。名前を失った彼らを、あなたは視ることができないのかもしれない。或いは経験に基づき名を振り分けて判断するのかもしれない。あなたがこれらの名づけ親になるとき、それはあなた自身のアイデンティティなのかもしれない。

                 – 小見山 峻


90年代にデジタルカメラが一般に広く普及してから30年が経ち、2010年代に急激に普及したスマートフォンやSNSの登場により、誰もが気軽に写真を撮り、発表することができるようになりました。

写真や映像で溢れ返り、様々な情報が錯綜する今日。私たちは先入観でものごとを見てしまい、その本質について熟慮する機会を失いつつあります。今回の小見山の写真は、自ら考え、その「視点」を変えながら一人ひとりの違いを認識することの重要性を問いかけています。デジタル加工・編集を一切行わずアナログ手法によって制作された今作品たちは、いずれも全て現実の足跡でありながら、その工程によって「名前」を奪われ、その存在意義を鑑賞者に委ねることになります。それにより、日常生活から国際問題まで、現代社会のあらゆるすれ違いを見つめ直すヒントを感じさせられます。

                                                                                      – キュレーター 渡邊 賢太郎


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my beautiful tokyo



夕方過ぎの吸殻のような喫茶店で

皿に残ったラズベリーソースが血の跡に見えて

柔肌のコンクリートに跳ね飛ばされる毎日に

チップ代わりの安い辟易を投げつけている


砂漠ならばまだよかった

アスファルトと違って足跡が残るから

深海ならばまだよかった

カラオケボックスよりも自分の声を聞けるだろう


ここは東京

僕の宝物が、あなたにとってガラクタにすぎない街

ここは東京

あなたの大切な人が、誰かにとって最悪な出来事かもしれない街


アンドロイドにも聴こえるような風の歌を探す

ノロマなトライアンフをコンバースで追い越して

消毒液で汚れた手でシャッターを切るとき

何かを祈った気がするが、帰り道に落としたまま届かない


ここは東京

今夜はいっそ、ボウモアとハイライトで大人になって

ここは東京

明日はきっと、コンソメパンチとスプライトで子供になって


僕らが何かを求めているのか

何かが僕らを求めてくれるのか

僕らが日々を愛すのか

日々が僕らを愛してくれるのか


ここは東京

背伸びし合う鉄骨の裂け目に、なんとか陽を探し出す街

ここは東京

この景色たちの隙間で、あなたを想う日を見つけた街

(チクショウ、それだけでお釣りがくるよな)